美容クリニックの選び方

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  • 30代からの糸リフトは早すぎる?

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    美容医療によるリフトアップ治療と聞くと、多くの人がメスを使った大掛かりな手術や、40代、50代になってから受けるもの、というイメージを持っているかもしれません。その中でも「糸リフト(スレッドリフト)」は、たるんだ皮膚を糸で引き上げるという直接的なアプローチから、まだ早いと感じる30代の方も少なくないでしょう。しかし、実はこの考え方は少し古いものになりつつあります。近年の美容医療では、むしろ30代こそが糸リフトを始めるのに最適な年代の一つである、という認識が広まっています。糸リフトは、コグと呼ばれる小さなトゲのついた医療用の特殊な糸を、針を使って皮下に挿入し、たるんだ脂肪や皮膚といった組織を物理的に引っかけて持ち上げる治療法です。フェイスラインのもたつきや、ほうれい線、マリオネットラインといった、ハイフなどの照射治療だけでは改善が難しい、ある程度進行したたるみに対して、非常に高い効果を発揮します。では、なぜ30代で糸リフトが有効なのでしょうか。その理由は、たるみがまだ軽度で、皮膚の弾力が保たれているうちに施術を行う方が、より少ない本数の糸で、より自然で美しいリフトアップ効果を得られるからです。たるみが深刻に進行し、皮膚が伸びきってしまってからでは、多くの本数が必要になったり、糸だけでは支えきれなくなったりします。早めに土台を補強することで、将来的なたるみの進行を食い止める、強力な「予防」としての役割を果たすのです。さらに、現代の糸リフトで主に使用される糸は、PDOやPCLといった、半年から2年ほどで体内に吸収される安全な素材でできています。この糸が皮下に挿入されると、糸の周りにコラーゲンやエラスチンが生成される「創傷治癒」のスイッチが入ります。糸が溶けてなくなった後も、この自己生成されたコラーゲン線維が新たな土台となり、肌のハリや弾力を長期的に維持してくれるのです。つまり、糸リフトは単に引き上げるだけでなく、肌質そのものを改善する「肌育」の効果も併せ持っているのです。このコラーゲン生成能力は、若い年代の方が高いため、30代で始めることで、より高い肌質改善効果が期待できます。ダウンタイムについては、腫れや痛み、口の開けにくさ、引きつれ感などが数日から2週間程度続くことがあります。