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2025年10月
  • 病院の脱毛はなぜ効果が高いのか?レーザーの科学

    生活

    病院で行われる医療脱毛が、美容サロンの光脱毛に比べて「効果が高い」と言われるのには、明確な科学的根拠があります。それは、使用している「医療用レーザー」の圧倒的なパワーと、それを扱う専門家の知識の組み合わせによるものです。脱毛の効果を左右するのは、毛根にある毛を生やす組織、特に毛の黒い色素であるメラニンを豊富に含む「毛母細胞」を、いかに確実に破壊できるかにかかっています。病院の医療用レーザーは、特定の単一波長の光を、非常に高いエネルギーで、かつ直進的に照射することができます。このレーザー光が皮膚を通過し、毛根のメラニン色素に吸収されると、光エネルギーが熱エネルギーに変換されます。この時に発生する高熱(約200〜250℃)によって、毛母細胞や、毛の生成を指令するバルジ領域といった組織を熱変性させ、破壊するのです。一度破壊された組織は再生する能力を失うため、その毛穴からは半永久的に毛が生えてこなくなる、これが医療脱毛の基本的なメカニズムです。美容サロンの光脱毛機も、メラニンに反応して熱を発生させるという原理は同じですが、その光は様々な波長が混じった、エネルギーが拡散しやすい「フラッシュ光」です。また、安全性を考慮して出力が厳しく制限されているため、毛根組織を「破壊」するほどのパワーはなく、ダメージを与えて一時的に弱らせる「減毛・抑毛」効果にとどまります。さらに、病院の脱毛効果の高さを支えているのが、レーザーの種類の使い分けです。医療用レーザーには、主に「アレキサンドライト」「ダイオード」「ヤグ」という3つの種類があり、それぞれ波長(皮膚に届く深さ)やメラニンへの反応性が異なります。例えば、色が黒く太い毛にはアレキサンドライト、根が深いひげやすね毛にはヤグ、産毛や色黒肌にはダイオード、というように、医師や看護師が患者一人ひとりの毛質や肌質を診断し、最も効果的で安全なレーザーを選択、または組み合わせて施術を行います。この強力な機器と、それを最大限に活かす専門家の知見。この二つが揃っているからこそ、病院の脱毛は、他では得られない確実な結果をもたらすのです。