美容クリニックの選び方

2025年10月
  • たるみの影を消す注入治療という選択

    医療

    30代になって感じるたるみは、フェイスラインの緩みだけでなく、「顔にできた影」として自覚されることも少なくありません。代表的なのが、鼻の横から口角にかけて伸びるほうれい線、目の下にできるゴルゴライン、そして口角から顎にかけてのマリオネットラインです。これらは、若い頃にはなかった影であり、顔に疲れた印象や老けた印象を与えてしまいます。この「たるみの影」に対して、非常に効果的なアプローチとなるのが、ヒアルロン酸や肌育製剤を用いた注入治療です。ヒアルロン酸注入と聞くと、シワの溝に直接注入して埋める、というイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、現代のたるみ治療におけるヒアルロン酸の使い方は、もっと立体的で、建築的な考え方に基づいています。たるみの影は、頬の脂肪が下垂したり、骨が痩せてボリュームが失われたりすることで、皮膚が垂れ下がり、靭帯の部分で折れ曲がってできるものです。そのため、ただ単にほうれい線の溝を埋めるだけでは、顔がパンパンに膨らんで不自然に見えてしまうことがあります。最新の注入技術では、まず顔全体の骨格を評価し、ボリュームが失われたこめかみや頬の高い位置、フェイスラインといった、顔を支える土台となる部分に、硬めのヒアルロン酸を注入します。これにより、緩んだ靭帯がサポートされ、顔全体がリフトアップし、結果としてほうれい線などの影が自然に浅くなるのです。これを「ヒアルロン酸リフト」と呼びます。建物の柱を立て直すように、まず構造から整える。その上で、最後に残った浅い影を、柔らかいヒアルロン酸で滑らかに仕上げる。この二段階のアプローチが、自然で美しい仕上がりを実現する鍵となります。一方、顔全体にハリがなくなり、肌がしぼんだような印象、いわゆる「肌痩せ」によるたるみ感には、「肌育注射」が有効です。スネコスやリジュランといった製剤を、肌の真皮層に注入することで、コラーゲンやエラスチンを生み出す線維芽細胞を活性化させます。これにより、肌そのものの密度が高まり、内側から押し返すようなハリと弾力が蘇ります。肌の土台が丈夫になることで、細かなシワが改善され、たるみにくい健康な肌へと育っていくのです。